2025年5月からスタートした、環境省主催による環境教育?ESDプログラム「SDGs Students Dialogue Expo 2025(SSDE)」に、6名の神戸大学生が参加しました。このプログラムは、日本国内の大学と海外校の学生グループがチームを組み、企業が提示した環境課題の解決策を検討するというもので、最終発表が9月4日?5日の2日間にわたり、大阪?関西万博会場のジュニアSDGsキャンプ(サステナドーム)で行われました。
日本からは、神戸大学のほか、芝浦工業大学、関西学院大学、東洋大学、日本大学、北海道大学、千葉大学、立教大学、立命館大学の計9大学が参加し、中国、韓国、インドネシア、フィリピン、タイ、カナダの学生の皆さんとともに全10チームを結成し、各企業が提示した課題に取り組みました。関係者を含め150人を超えるメンバーが参画するプロジェクトで、企業担当者もメンターとして参加しながら、全チームが参加する6回のワークショップのほか、チームごとにミーティングを繰り返して発表本番を迎えました。
1日目の9月4日に発表を行った神戸大学グループは、フィリピンのIloilo Science and Technology University(ISAT-U)の学生メンバーとチームを組み、加山興業株式会社(名古屋市)が提示された「子どもたちの環境保全への意識を高める持続可能な環境教育システムを提案せよ」というミッションに取り組みました。現状ではボランティアベースでしか行われていない義務教育における環境教育において、さまざまな先進的な取組みを続けている加山興業に対して、目指すべき学校?企業の連携による環境教育のあり方を提案しました。万博会場での2日間のプログラムでは、全10チームの提案発表と環境省等からの講評のほか、課題を提示した企業と学生メンバーによるパネルディスカッションや、ポスターセッションも合わせて行われました。




神戸大学チームのアシスタントを担当した蔵田敬さん*(国際人間科学部4年生)のレポート
*当プログラムの企画運営を担った株式会社 With The Worldのインターン生
私たちのチームは、SDGs推進室の呼びかけにより集まった神戸大学生6名と、フィリピンの学生3名の計9名のメンバーでスタートしました。私は普段、日本生と海外生の国際交流のアシスタントとして活動していますが、これまで関わってきたプログラムは比較的単発的であることが多く、「交流」としての色が強いです。一方、このプロジェクトは約4か月にわたる長期的な取り組みであり、企業から与えられたミッションの解決を目指して日本生と海外生が「協働」する点に大きな魅力を感じたため、アシスタントとして参加することを決めました。
ただ、プロジェクトを進めるにあたって難しさも多くあったように思います。はじめはお互いのことをあまり知らない状態かつオンラインでのミーティングが中心であったため、関係構築から始まり、チームとしてひとつになるまでの道のりは簡単ではありませんでした。また、環境教育を専門として学ぶ学生ばかりではなかったこともあり、現状の把握などに時間を要し、苦戦する場面もありました。
そのような過程の中で、フィリピンの学生とのディスカッションなどを通して新たな視点でのアウトプットを出せるように尽力している姿が印象的でした。参加メンバーの韓一琳さん(人間発達環境学研究科博士課程前期課程2年生)は、「異なる文化を持つメンバーと協働する過程で、意見を調整する協調力が大きく伸び、また環境問題を国際的な視野で捉える姿勢が養われたと感じた」と語っていました。また最終発表においてメンバーがいきいきとした表情でプレゼンテーションを終えた姿からは、4か月弱のこのプロジェクトへの真摯な取り組みが感じられました。片岡美紀さん(法学部2年生)は、「はじめは抽象的すぎて発表の形になるか不安だったが、プロジェクトの過程において内容が補完され、ブラッシュアップを図れたと思う」と、自分たちの活動を評価していました。一方、黒澤秀司さん(経済学研究科博士課程前期課程2年生)は「お互いの国の独自性を取り入れながら斬新的な環境教育について考えられたが、現実的な予算面や人材面において、企業様の課題に対して十分応えられていなかった部分もあったと感じた」と最終アウトプットについての課題も指摘していました。
今回のプロジェクトにおいて、学生の皆さんは海外生との協働を通じて環境教育への可能性を探る経験を得られたのではないかと思います。今回与えられたミッションは日本の課題を主として扱いましたが、環境問題は国を超えて解決すべき問題であり、よって海外生と共にディスカッションすることの意義があるのではないかと考えています。参加してくれた学生メンバーには、このプロジェクトを発表で終わりにするのではなく、今後もアウトプットを愚直に発展させ、より持続可能な環境教育プログラムの実現を目指していくことを期待しています。
アーカイブ動画
大阪?関西万博会場でのプログラムはこちらからアーカイブ動画をご覧いただけます。
(神戸大学生チームのプレゼンテーションは2:55:40あたりから開始します)
(SDGs推進室)